それまでお互いのお店を行き来していた、高円寺えほんやるすばんばんするかいしゃの荒木純子さんと、2020年春の休業中ゆっくり会う機会がありました。
わたしはるすばんさんの店はもちろん、作るものがとても好きでした。
なにか一緒に作りたいと思った時、お互いが好きな絵や描き文字を
描く作家として、2017年からドイツに住む安食史子さんが思い浮かびました。
純子さんと史子さんといっしょに何が作れるか?と考えはじめました。
史子さんに見せていただいた写真の中に、とても心に残る絵がありました。
現地の小学校にあがったばかりの娘の果乃子ちゃんが書いた、ドイツ語の春の詩を史子さんがイラストと描き文字で描いたものでした。
学校には休校中でしたが、外へ出て感じたことを言葉をかきとめ、
それを元に詩を書いてみるという授業で書いた詩です。(当時、ドイツはロックダウンの最中、人と会うことは禁止されていましたが、家族単位の散歩は認められていたそうです。)
授業は「春」だけでしたが、彼女は夏、秋、冬と季節ごとに森へゆき、言葉のスケッチを続け、クリスマスには四季の詩を綴じた手製の小さな本を先生にプレゼントしたそうです。
また手紙の課題では実際に先生に手紙を書き、そのやりとりは、課題が終わっても担任が変わっても続いたそうです。
この小さな本「おてがみ」に描かれているのは先生と果乃子ちゃんでしょうか。
きっときっと先生はとても優しく、昔の児童文学に出てくる先生のように優しくでもしっかりと果乃子ちゃんに接したのではないかなと想像します。
「おてがみ」の最後にある、史子さんの文章が心にしみていきます。
ほんとうにすとんと落ち着いた時に、飛行機に乗ってあの絵本と絵に溢れた部屋に会いに行きたいと思うのです。